奈良支部夏合宿2013

日時 2013年8月24、25日
場所 長島愛生園&宮本武蔵生誕の地

今年は岡山県の東部にあります国立ハンセン病療養所「長島愛生園」で合宿をしました。「長島愛生園」での夏合宿は、今回で4回目となります。県内5道場から13名が参加し、岡山県へ向かいました。全国的に局地的な大雨が降っており、二日間、とにかく無理をせず、安全第一を心掛けようと話し合いました。途中、日生の「海の駅」で海鮮丼やきつねうどんを食べました。
今回の合宿を開催するにあたって、事前にハンセン病について知ってもらうために、参加者には小冊子を配っていましたが、車中でも説明をしました。ハンセン病で療養所に連れてこられた方達は、親や兄弟と一緒に暮らすことができず、実名を名乗ることができず、結婚しても子供を生むことが許されず、一生療養所から出て暮らすことができず、死んでも故郷の墓に埋葬してもらえない、こんな生活を強いられてきました。同じ人間なのに、あやまった国の政策などによって、長い間多くの偏見と差別に苦しんできました。空手の稽古は突き合い蹴り合う中で痛さを知り、相手の痛みも分かるようになります。痛みが分かる人は、他人にやさしくなります。偏見・差別を受けた長島愛生園入所者の方達は心を痛めた経験があるから、とてもやさしいです。そして、後遺症に苦しみながらも、残りの人生を悔いのないように生きようと、一生懸命に今を生きていらっしゃいます。
到着しますと、入所者の石田さんと懐子さん、谷本さんが温かく迎えてくださいました。

まず初めに、歴史館を見学しました。ハンセン病のことや長島愛生園の歴史について学びました。

歴史館を出てから、道着に着替えまして、まず向いましたのは納骨堂。この中には亡くなってもなお故郷に帰れない約3,500柱もの遺骨が眠っています。私達が到着すると不思議と雨が止みました。私達はまず黙祷し、それから奉納演武をしました。

1日目の稽古は基本、移動を行なった後、打たれ強さの強化、対面シャドーを行ない、帯ごとに入所者の方達の前で大きな声で名前を言ってから各々の型を披露しました。締めの基礎体力は全員から気合いの入った声が出るまで続けられ、二周めで皆が腹の底から気合いが出たところで終了しました。会場いっぱいに響き渡る気合いに入所者の方達も笑顔で感心されていました。稽古が終ってから、少年部から「入所者の方に質問してもいいですか?」という声が。入所者の方達も快く引き受けてくださいましたので「ハンセン病になった時、どんな気持ちでしたか?」「夢はありますか?」等、たくさん質問しました。「もう一度、ハンセン病でない人生をやりなおしたいという夢がある」等、入所者の方々も一つ一つの質問に対して、分かりやすく答えてくださいました。

夕方からの交流会では、自治会副会長の石田雅男さんからご挨拶を頂戴し、岡崎課長さんから乾杯のご挨拶を頂戴しました。その後、長島部長さんも駆けつけてくださり、入所者の谷本さん、広瀬さん、懐子さんからも貴重な体験談をお話いただきました。空手道MACの参加者の自己紹介も、皆慣れてきたようで大きな声でハキハキと話していました。私たちは自己紹介で好きな食べ物や嫌いな食べ物も言いましたが、谷本さんから「私らの時代には嫌いな食べ物なんて言えなかった。食べ物にきらいなんて言ったら何も食べさせてもらえなかった」というお話しもありました。最初は皆、恥ずかしがっていたカラオケにも熱が入り出し、光野くんと松本くんが、まさかの100点満点に!100点満点、いや、0が4つの10000点!のポーズでお祝いしました。ご参加くださいました皆さんお一人お一人と全員が握手をしてお別れしました。

2日目は午前6時起床、部屋を綺麗にして7時に出発。谷本さんと岡崎課長さんが「気を付けてね」と手を振って見送ってくださいました。

向いましたのは岡山剣美作市宮本、宮本武蔵の生誕地です。宮本武蔵は、生涯不敗と言われるほどの剣の達人で、諸国を放浪し多くの伝説を残すほどでありながら、武蔵の誕生については未だ特定されていません。宮本武蔵の生誕地には「播州高砂」、「播州太子」、「作州大原」の3つの説が有力な生誕地説となっていますが、今回は岡山県「作州大原」へ行きました。途中、前が見えなくなる程の大雨もありましたが、孤高の剣聖といわれた宮本武蔵先生に剣禅一如の精神を学びに行きました。まず、武蔵資料館に入りますと、宮本武蔵の像の下に「我、事において後悔せず」という言葉が。五輪書、独行道等の書物、書、絵に見入っていましたところ、「戦気 寒流帯月澄如鏡」という迫力のある書が目につきました。

『「寒流帯月澄如鏡」は、武蔵が好んだ白楽天の句。「和漢朗詠集」以来広く知られ、戦気とは戦のいきごみ、心構えをいう。武蔵は、「二刀流兵法問答」の中に、「この書は、二天一流の戦気の濁りのないところを、澄んだ寒流にたとえ、そこに月を借りて、敵の動静変化の気を、おのれの心の鏡に映すことが肝心であると表したものである」と記している。』(武蔵資料館パンフレットから転載)

武蔵神社にも同じ句が記されていましたので、皆で読みました。そして、宮本武蔵のお墓の前で奉納演武を行ないました。

美味しい昼ごはんを神戸タワーホテルで食べて、南京町を見学、そしてポートタワーの最上階から神戸の景色を眺めました。

車中では、しりとりやクイズゲームで、最初から最後までほとんどの子どもたちは眠ることなく友達とワイワイ話していました。きっと、家に帰ったらバタンキューだったでしょう。

入所者自治会の石田さんはじめ、懐子さん、広瀬さん、谷本さん、岡崎課長さん、長島部長さん、お世話になりましてありがとうございました。榮先生、中川さん、引率お疲れさまでした。また来年の夏合宿も参加しましょう!






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